愛は不思議 子どもの本に描かれた恋愛

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『だれかを好きになった日に読む本 きょうはこの本読みたいな(1)』

(現代児童文学研究会/編  偕成社/刊)

 

多分小学校4年生くらいの時、学校の図書館で出会ったこの本に、大きな衝撃を受けた一冊。

 

現在重版未定本。

ネットのレビューを見ると、様々な人がこの本に衝撃を受け、ある意味人生狂ったという人もいるくらいの、禁断の書のようになっている。

レビューが熱い↓

 

確かに!!!

子どもの頃にこの本に出会えたことはとても良かった!

 

しかし、大人になった今、子どもにこの本を勧めるかと言えば、勧めていいのか…?と思ってしまう。

なので子どもたちにはぜひ自力でこの本にであってほしいとこっそり思っている。

 

構成はアンソロジーになっていて、いろいろな作家の「恋愛」をテーマにした小説や詩が収録されているのだが、中にちょっと内容が大人な作品があって。

でも、大人な設定の作品しか心に残っていないのだ。どうしてだろう。

 

心に残っている2作は

『電話が鳴っている』(川島誠

中学3年に受けるテストの結果によって、すべての人がランク付けされて、将来を決定される世界。(近未来、という設定かな)

優秀だったはずの恋人が、ケガで最下位のランクと判断されてしまう。最下位ランクの人間には、恐ろしい行く末が決まっていて……。

恋人と一緒に最下位ランクになろうとして、できなかった主人公。恋人が、最後の言葉を言うために、主人公のもとに電話をかけてくる……。

この『電話が鳴っている』というタイトルもたまらない。ずっと忘れられないタイトル。

大人になって、映画「カダカ」を見たとき、世界観似てると思った。

「カダカ」良い映画です。

 

 

『The End of the World』(那須正幹/作)

核戦争が起き、家族とシェルターに避難していた僕。

だんだんシェルター内にも放射能が侵入し、父も母も死んでしまう。たった一人残された僕のもとに、女の子からの無線が聞こえる。

人は、死の危険を感じても、愛しい(と思えるかもしれない)人に会いに行くんだ、最後の最後には選ぶのは愛なのだと、子ども心にズシンときた思い出。

 

きっと、いずれの作品もSFとしてはよくある設定なのかもしれない。でも、私にとってはおそらく初めての、シビアな設定のSFだったので、衝撃も大きかったのだと思う。

 

 

子どもの頃『だれかを好きになった日に読む本』に胸を熱くした私だが、

大人になってからは「恋愛もの」にそんなに興味がない。

世に流れる歌謡曲の多くが、愛をうたったものであることに疑問をいだいていて、もしかしてこれは人々をロマンティック・ラブ・イデオロギー(※恋愛を動機とした結婚と性交を神聖視する思想)に陥れるための罠なのではないか(軽い陰謀論)と、学生の頃思っていた。

 

そんな私が大人になってから見つけた、魔訶不思議な2冊の愛の絵本がこちら。

 

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『アロくんとキーヨちゃん』(長谷川集平/作 ブックローン社/刊)

よく見ると、レオレオニの有名な絵本『あおくんときいろちゃん』にそっくり!

オマージュなんだそう。

 

『アロくんとキーヨちゃん』を読んで、『あおくんときいろちゃん』が恋愛を描いた絵本だと気づいた鈍感な私…。

 

2つの色が交わって、新しい色が生まれるということ…

ん? 交わる??

それってちょっとエロテッィクじゃない!?

 

まさしく『アロくんとキーヨちゃん』は、エロスを感じるような作品で、暗い部屋でアロくんとキーヨちゃんが手をとりあっているところなんか、もはや二人は一線を越えてしまっている…!と思ってしまった。

アロくんの母が帰ってきて、二人の邪魔?をするところも、母の姑感を感じる。

母が寝そべって2人の描いた絵をながめるところも、何かある感じが…。

 

『たにむらくん』

(岡本けん/作 リブロポート/刊)

内気そうな少年たにむらくんが、たちばなさんに猛アタック。

嫌いな牛乳を飲んで背を伸ばし、勉強も頑張り…

なのに、たちばなさん、あっさりたにむらくんをフッて、遠くへ引っ越してしまう。

それでもあきらめないたにむらくん。

まっすぐな愛か、それはいきすぎるとストーカーになるのか…。

最後のページは「ゾッ」とすらする、不思議な後味の絵本。

 

いずれも今は手に入りにくい本だが、

もものこぶんこで読むことができるので、機会があればぜひ。

もものこぶんこ(ももやまぶんこを支える会) (kiwamari.org)

 

こちらはまだまだ現役絵本!