「河鍋暁斎の底力展」at東京ステーションギャラリー
河鍋暁斎は江戸から明治にかけて活躍した絵師。
私が河鍋暁斎を知ったのはつい最近なのですが、河鍋暁斎という人はとても人気のある作家で、年に1回くらいは展覧会があるそうです。
今回東京ステーションギャラリーで開催された展示は、「本画」=完成作品はなく、主に下絵を中心とした展覧会というところがおもしろい趣向でした。
河鍋暁斎くらいの画家になると、本描きには弟子たちの手が加わることもあるらしい。下絵なら100%暁斎がかいたと言えるということだそうです。下絵ならではの勢いや推考を感じられました。
暁斎の描くおばけの絵が好きなので、骸骨が茶堂やをしている絵がかわいくておかしかった。
暁斎は弟子も多くとり、かなり教育に力を入れたようですが、思うように育たなかったよう。そんな中で、娘はしっかり育って、父の仕事を支えたそうです。娘のために描かれた絵手本「柿に鳩」は、シンプルな絵なのに、写実的にすら見えます。こんな風に描けるのは確かな腕があってこそ。
パトロンの娘さんが早逝したときに作った「地獄極楽巡り図」は、娘さんの極楽までの珍道中を描いた作品で、娘さんの死は悲しいことなのに、ユーモアたっぷり織り交ぜて(芝居のオマージュなどが入っている)、暁斎だけにしかできない弔いの形だなと思いました。これはいつか本画も見てみたいなあ。
東京ステーションギャラリーはむきだしの茶色いレンガを生かした壁や、8角形のらせん状の階段など、建築としての見どころもたくさんです。
「絵本画家 赤羽末吉展」at静岡市美術館
東京から大阪へ向かう新幹線を途中下車して、静岡市美術館の「絵本画家赤羽末吉展」に行ってきました。
赤羽末吉と言えば「スーホの白い馬」。モンゴルの雄大な大地を背景に、少年と馬の友情を描く、悲しくも美しいお話です。
ペーパーバック版(福音館のこどものとも67号)として出版した作品を、ハードカバーにするに際し、すべて描きなおされたそうです。こどものとも版の絵も素晴らしく、見比べてみるのも楽しいです。
今回の展示で、赤羽末吉の絵の可愛さ(おちゃめさ?)に気づきました!赤羽末吉の絵と言えば、シブイ(いい意味です)と思っていたのですが、原画でじっくり見るとすごくキュート!登場人物たちの表情が茶目っ気たっぷりだったり、絵にちょっとしたシャレを潜ませていたり。
『おへそがえるごん』は、よく見ると腰に耳かきをさしているのです!エー!かわいい!
『そら、にげろ』という絵本が、新たなお気に入りになりました。来ている服から、「もよう」が逃げ出し、それをおいかけるストーリー。ことばなしに繰り広げられる「もよう」とのやりとりが、ユーモアたっぷり。
『チワンのにしき』がとても懐かしかったです。(小学校のころの国語の教科書に載っていたのかな…?)
おばばの織る鮮やかな錦はどんなだろうと、子どものころ想像していました。家があって、木々があって…と、村をあらわしたもようが錦に織り込まれているのですが、最後にそれが現実として立ち現れてくるというところが、とても好きでした。
2021年も教文館さんやちひろ美術館で、赤羽末吉さんの展覧会があるようです。楽しみですね。
静岡は海鮮が美味しいらしい!ということで海鮮丼でも食べたかったけど、時間がなくて、お寿司をテイクアウトして新幹線にのりました。美味しかった!静岡ちらしっていうのもあるらしい。今度はそれ食べたい。
お土産にお茶とうなぎパイも購入。美術館でお買い物したら、ちびまるこちゃんの絵のお茶パックをもらいました。嬉しかった~。
美術館の1階にある戸田書店、閉店していた…。ステキなショウウインドウ…
<東京~大阪間で、静岡に途中下車する方法>
東京から「ひかり」に乗ります。東京→静岡(5940円)
静岡から「ひかり」に乗ります。静岡→新大阪(10560円)
新大阪⇔東京間より+2630円(自由席)で、静岡に途中下車することができます。
※「のぞみ」は、静岡に止まらないので注意!「ひかり」にのりましたよ~。
※乗換案内見たら、名古屋で「のぞみ」に乗り換えるって書いてたから、乗り換えてみた。新幹線乗り換えるって初めて!
「がまくんとかえるくん」誕生50周年記念 アーノルド・ローベル展 at PLAY!MUSEUM立川
ちょっとひねくれたところもある、がまカエルの「がまくん」と、カエルの「かえるくん」、シリーズでおなじみの、アーノルド・ローベルの日本初の本格的な展覧会が、立川のPLAY!MUSEAMで開催されていたので、行ってきました!
立川での展示はもうすぐ終わりますが、全国巡回もあるようです。もしこれから行かれる人がいたら、ぜひ「がまくんとかえるくん」シリーズをじっくり読んでからおでかけされると、楽しさが倍増すると思います。
というのも、編集者とのやりとりで、作品が変わっていく流れが展示されていて、きっとよく読んでいる人ほど「あのシーンが最初はこんな感じだった…!」という感動が味わえると思うからです。
また、今回の展示のために作られた加藤邦夫さんのアニメーションも、がまくんとかえるくんの名シーンが集められた作品になっていて、読んでいる人ほど「あのシーンだ~」と嬉しくなってしまうと思います。
下絵の時は、木の大きさとの対比を見ると、人間と同じくらいの大きさで描かれていたかえるくんたちが、本絵では、小さいサイズになっていて、考えられて作られていたんだなあ…。と感心しました。でもそのルールは後々ゆるくなっていったらしく、ちょっとクスリと笑えました。
がまくんとかえるくん以外にもさまざまなアーノルドローベル作品が見られる、充実の展示でした。
『いろいろへんないろのはじまり』がとても好きです。
印刷技術が発達していなかった頃、作者自ら色の版を作り分けないといけなかったようで、塗り分けた版も見ることができました。
この作品では、赤、黄、青と、きれいに塗り分けられた版が見られました。
昔の絵本印刷って、たいへんだったんだな…!