私たちは魔法使いになれる ~『秘密の花園』と「もものこシアター」制作裏話~
大人になってから『秘密の花園』を読んで、いたく感動しました。
子どものころテレビアニメでやっていたのを見ていたので、「大体筋は知っている」と高をくくって、今まで原作を読んでいなかったことを後悔するくらい。
いや、しかし、子どもの頃の自分にこのお話の素晴らしさがわかっただろうか、と考えると疑問でもあります。
誰にも愛されたことがない故、ひねくれた性格のメリーは、みなしごになってしまったためイギリスの叔父の家に引き取られる。敷地内にある「入ってはいけない庭」に足を踏み入れたメリーは、そこで自然と触れ合い、出会った子どもたちと友情をはぐくみ、成長していく、というのが『秘密の花園』のざっくりとしたあらすじ。
登場人物のキャラクター、謎のある設定が次から次に畳みかけるように描かれ、読者をぐいぐいひっぱっていくので、気づけば夢中で読んでいました。
特に感銘を受けたのは、「魔法」が出てくるところ。
「魔法」といっても、杖で魔法をかけるような、夢物語ではない、誰もが手に入れることのできる魔法について、物語の後半に丁寧に描かれています。
読んでいるうちに読者は、自分にも魔法が使える気がしてくる、そのように思わせてくれる力を、この物語に感じるのです。
抄訳では割愛されそうなこの描写が、この物語の肝だと私は思いました。
(……これについてもう少し詳しく書きたいのだけれど、長くなるので後日あらためます。)
さて、もうすぐハロウィンです。
私はYOUTUBEチャンネルでパネルシアターを公開しているのですが、ハロウィンに向けて何かパネルを作りたいと考えていました。
ハロウィンと言えば、お化け…魔女…魔法…。
魔法使いって、どうやったらなれるんだろう?
特殊な才能が必要なのかもしれない。
でも、ハリー・ポッターだって、何年も魔法学校で学んで魔法を身に着けるわけです。
私たち人間だって、自分の好きなもの、自分に合っているものであれば、鍛錬を積めばうまくなる。まるで「魔法」のように、速く走ったり、お料理を作ったり、歌ったり、できるようになるんじゃないかな。
『秘密の花園』の「魔法」も、きっとそういうこと。
「魔法はぼくのなかにある。みんなのなかにある」(『秘密の花園』)
そこに描かれた「魔法」について、私も描いてみたいと思ったのです。
「誰でもきっと、魔法使いになれる!」
そんな思いを込めてできたのが、こちらの作品…。
ああ、しかしなんというか、思いが先行しすぎて、まどろっこしい教訓的な作品になってしまったようにも思います。
元々教訓的なお話を好むタイプではあるのですが…
もっとスマートに、さらっと、じんわりと、心に響くように描けたらいいのに!
難しいですね…。
『秘密の花園』には、自然に心に響くように描かれているので、良かったらぜひ読んでいただけたらと思います。
一時エリック・カールさんの絵本『できるかな? あたまからつまさきまで』を元に作られたテーマソングをよく口ずさんでいました。
「きみはできるかな?……できるよできる!」
と歌うことで、自分を励ましていたのです。
まるで魔法の呪文のように。
今回のパネルシアターのために作った歌は、口ずさむことで自分を励ましてくれる歌になったらいいなという思いもあります。
作品を作り出すということは、私にとっては魔法みたいに、つかみどころのない難しいものでもあります。
「なりたいな、なれるとも、魔法使いになれるんだ!」
魔法の呪文を自分に歌い聞かせて、手を動かし、作り続けるしかないのです。
ハロウィン動画は、去年作ったこちらが好評。
たくさん見ていただいているみたい。
ありがとうございます。